大阪地方裁判所 平成2年(わ)2496号 判決 1991年3月08日
本店所在地
大阪府泉北郡忠岡町北出二丁目八番一二号
被告人
日伸カーペット株式会社
(右代表者代表取締役 杉原唯弘)
本籍
大阪府泉北郡忠岡町忠岡中一丁目一四三二番地の一号
住居
大阪府泉北郡忠岡町忠岡中一丁目二四番二四号
職業
会社役員
年齢
昭和一〇年二月四日生
被告人
杉原唯弘
検察官
梶山雅信
弁護人
渡邊俶治
主文
被告人日伸カーペット株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人杉原唯弘を懲役一年六か月及び罰金二五〇〇万円に処する。
被告人杉原唯弘がこの罰金二五〇〇万円を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
被告人杉原唯弘に対し、この裁判確定の日から三年間懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
第一 被告人日伸カーペット株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪府泉北郡忠岡町北出二丁目八番一二号に本店を置き、カーペット製品等の製造販売等を目的とする資本金八〇〇万円の株式会社であり、被告人杉原唯弘(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた。被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、
一 架空の仕入を経常するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六〇年六月一日から昭和六一年五月三一日までの事業年度における実際所得金額が四七六七万三〇〇二円あった(別紙修正損益計算書(一)参照)のにかかわらず、同年七月二八日、、大阪府泉大津市二田町一丁目一五番二七号所在の所轄泉大津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額がなく、これに対する法人税額もない旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定期限を徒過させた。その結果、右事業年度における法人税額一八一四万六七〇〇円(別紙税額計算書(一)参照)を免れた。
二 前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年六月一日から昭和六二年五月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億二五五四万八九六六円あった(別紙修正損益計算書(二)参照)のにかかわらず、同年七月二八日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五九九万九二六四円で、これに対する法人税額が一一五二万三九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、右事業年度における正規の法人税額一億二五五四万八九六六円と右申告税額との差額三七六一万六〇〇円(別紙税額計算書(一)参照)を免れた。
三 前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六二年六月一日から昭和六三年五月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億一五三四万八二七九円あった(別紙修正損益計算書(三)参照)のにかかわらず、同年七月二六日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六九五万七四九七円で、これに対する法人税額が一三一七万五七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、右事業年度における正規の法人税額四六〇九万九九〇〇円と右申告税額との差額三二九二万四二〇〇円(別紙税額計算書(一)参照)を免れた。
第二 被告人は、自己の所得税を免れようと企て、
一 昭和六二年分の実際総所得金額が八六五一万四二五三円あった(別紙修正損益計算書(四)参照)のにかかわらず、継続して有価証券を売買したことによる所得の全部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、昭和六三年三月一五日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分の総所得金額が一一四三万三〇八〇円で、これに対する所得税額が六四万八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、同年分の正規の所得税額四〇一二万五九〇〇円と右申告税額との差額三九四八万五一〇〇円(別紙税額計算書(二)参照)を免れた。
二 昭和六三年分の実際総所得金額が一億四一七四万三七六〇円あった(別紙修正損益計算書(五)参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、平成元年三月一四日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が一一三七万五九〇〇円で、これに対する所得税額が四一万九一〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、同年分の正規の所得税額七一六九万四七〇〇円と右申告税額との差額七一二七万五六〇〇円(別紙税額計算書(二)参照)を免れた。
(証拠)
(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。
全部の事実について
一 被告人の公判供述
一 被告人の検察官調書二通
一 被告人に対する質問てん末書(82)
第一の各事実について
一 被告人に対する質問てん末書(83から90)
一 越智勝子(17)、奥村秀男、箱谷宗一(二通)、上山義広(二通)、北村光男、中村環、辻阪義春、杉田孝幸、河合守夫、佐久間暘治郎に対する質問てん末書
一 査察官調査書(8から16)
一 証明書(7、79)
一 登記簿謄本、閉鎖登記簿謄本(三通)
第一の一の事実について
一 証明書(4)
第一の二の事実について
一 照明書(5)
第一の三の事実について
一 証明書(6)
第二の各事実について
一 被告人に対する質問てん末書(91から106)
一 杉原恭子(二通)、杉原キヌエ、山中健司、矢野正治、中藤伸吉、奥野健司、安田照子、越智勝子(52)、橘勇、岡本昭門、深井敏幸、田伏一成、河野ひとみ、松下信男、松元知枝美、高浦安子、美馬正子、勇晋一郎、柳楽昭徳(二通)、大石彦康(三通)、細川芳武、平岡志朗(二通)、近藤司朗、岡田智(二通)に対する質問てん末書
一 査察官調査書(33から43)
第二の一の事実について
一 証明書(31)
第二の二の事実について
一 証明書(32)
(法令の適用)
一 罰条
(一) 被告会社
第一の各行為
いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
(二) 被告人
第一の各行為 いずれも法人税法一五九条一項
第二の各行為 いずれも所得税法二三八条一項、二項
二 刑種の選択(被告人)
第一の各罪 いずれも懲役刑
第二の各罪 いずれも懲役刑と罰金刑を併科
三 併合罪
(一) 被告会社
刑法四五条前段、四八条二項
(二) 被告人
刑法四五条前段
懲役刑について刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第二の二の罪の刑に加重)
罰金刑について刑法四八条二項
四 労役場留置(被告人) 刑法一八条
五 懲役刑の執行猶予(被告人) 刑法二五条一項
(裁判官 三好幹夫)
別紙 修正損益計算書(一)
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別紙 修正損益計算書(二)
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別紙 修正損益計算書(三)
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別紙 修正損益計算書(四)
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別紙 修正損益計算書(五)
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別紙 税額計算書(一)
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別紙 税額計算書(二)
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